2022年6月10日 参議院会館 B109にて、自由民主党ユニバーサル社会推進議員連盟(以下UD議連)が開催されました。UD議連は、ユニバーサル社会の実現に向け関係省庁の進捗状況を報告。障がい者団体が関係省庁に直接要望を伝え、回答を伺える重要な機会です。開催は年2回程度で、今回はCUDOより3名が参加して要望を伝えました。
CUDOでは、下記の内容について要望し、回答をいただきましたので掲載いたします。
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要望団体名:特定非営利活動法人 カラーユニバーサルデザイン機構
【宇宙飛行士】
要望1.JAXAが宇宙飛行士を募集しているが、その応募条件が「3年間以上の社会人経験、身長149.5~190.5cm、矯正または裸眼視力が1.0以上、色覚と聴力が正常で日本国籍を有する者」となっている。
JAXAとしては、色覚が正常でないと宇宙飛行士としてふさわしくないと考えていると思われるが、実際にNASAではロジャー・クラウチという色弱の宇宙飛行士(搭乗科学技術者)がおり、二回宇宙飛行をしている。https://www.nasa.gov/audience/forstudents/k-4/home/F_The_Power_of_Persistence_K-4.html
特に飛行操縦をするわけでもないのにことさらに色覚を入れている理由は何か?
(答)
〇 国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在やISSへの往来を行う有人宇宙船では、緊急時の迅速な対応と安全対策が取れるよう機器や表示の識別に色を用いた設計となっております。
〇 ロジャー・クラウチ氏については、当時(ISS運用開始前)、「搭乗科学技術者」としての資格でスペースシャトルに搭乗された方です。現在の、ISSや有人宇宙船の運用等に広く携わる宇宙飛行士と異なり、クラウチ氏の主な任務は軌道上での科学実験のみに限定されており、スペースシャトルの運航や安全確保等に必要な色覚は求められなかった可能性があると考えられます。
〇 今回募集した宇宙飛行士については、ISS滞在中や有人宇宙船搭乗時において緊急事態等が生じた際に、自身のみならず他の宇宙飛行士の安全確保の実施に携わるため、必要な要件として、視力や色覚、聴力等の医学基準を定めております。
【担当】文部科学省研究開発局宇宙開発利用課
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要望団体名:特定非営利活動法人 カラーユニバーサルデザイン機構
要望2.もし生存にかかわる装置類の識別が不能なものがあるなら、そちらを国際的な基準で多様な色覚に対応した物に変えるべきだと思うが、JAXAにおける色覚の多様性の取組みはどうなっているか。
(答)
〇 国際宇宙ステーション(ISS)は、参加する各極が国際的な設計基準に基づくモジュール(ISSを構成する要素)を提供し、組み立てられました。ISS計画のような国際協力プロジェクトにおいて、ユニバーサルデザインを適用していくためには、根幹となる国際的な設計基準から変えていく必要があるため、現時点でISSのシステムを抜本的に交換することは難しい状況です。
〇 一方で、将来の月探査等に向けては、多様な方々が活躍することも想定されますので、国際的な場において、ユニバーサルデザインの適用に向けた取組みの必要性を提起していくことも考えてまいります。
【担当】文部科学省研究開発局宇宙開発利用課
要望団体名:カラーユニバーサルデザイン機構
要望3 【色覚を要因とした職業制限について】
これまでも、何度も問題提起しているが色覚を要因とした職業制限は未だ多く残っている。
公務員においても警察官、消防士、自衛隊員、海上保安官において、採用時に色覚による制限を設けている。
また、公務員にかぎらず動力車操縦、航空機操縦者な、調理師など「国家資格/公的資格」が必要とされる職業への就職も制限されている。
本来であれば、色覚による制限をかけるのであれば、その合理的な理由と基準を公表すべきであり、それは科学的に客観性を持ったものでなければならないはずである。
しかし、実際の例として警察官採用試験における、このような制限について問い合わせても「受験する本人が電話しなければ詳しくは知らせない」といった対応や、その基準については「職務執行上差し支えがないこと」といった曖昧な表現でしか示されない。
1.例えば、公務員や国家資格を要するもの、または民間事業などにおいて、現在どのような職業に色覚制限があるのか把握しているか。把握してなければ調査すべきと思うがいかがか。
(答)
色覚を要因とした職業制限の必要性・合理性は、それぞれの職業の特性を踏まえて検討されるべき事柄であり、一律の把握はしておりません。
それぞれの業界を所管する各省庁において、必要に応じて、適切な対応がされるものと考えております。
【担当】内閣府政策統括官(政策調整担当)付障害者施策担当
要望団体名:特定非営利活動法人 カラーユニバーサルデザイン機構
要望1.およそ20年前に義務付けが廃止された色覚検査について、2014年以降希望者に実施している学校色覚検査がどのくらい実施されているかの実施学校の割合や検査総数やその推移/経緯などを示していただきたい。
(答)
○ 学校における色覚検査については、平成15年度(2003年度)から健康診断の必須項目から削除し、希望者に対して個別に実施するものとしたところです。
○ 検査の実施状況については、平成25年度(2013年度)に日本学校保健会において、平成20年(2008年)から平成24年(2012年)までの実態調査を行いました。
○ 平成26年度(2014年度)以降の実施状況については把握しておりませんが、各学校において、保護者や児童生徒の希望などに応じて判断いただいているものと承知しております。
【担当】文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課
要望2.また、色覚検査の廃止、また再開により起こった問題点などがあるかどうかを把握されているか?そのような調査は行ったことがあるか。なければ、行うべきと考えるがいかがか。
(答)
○ 色覚検査の廃止や、希望者に対する実施に関して、児童生徒に問題が起きたという報告は受けておりません。そのため、個別の調査を実施することについては、慎重に検討すべきと考えます。
【担当】文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課
要望団体名:特定非営利活動法人 カラーユニバーサルデザイン機構
要望1.オンラインで開催した 健康教育指導者養成研修会・全国学校保健連絡協議会は、その中において、昨年度も色覚について周知されたかお聞きしたい。また、具体的にどのような内容だったかを公表いただくことは可能か。出来ないのであれば、その理由もお聞きしたい
(答)
○ 令和3年度において実施した全国学校保健連絡協議会では、時間の都合もあり要点をしぼった行政説明を行ったため、色覚については盛り込んでおりませんが、独立行政法人教職員支援機構において実施した健康教育指導者養成研修では、色覚の検査に関しても周知(※)を図っております。
(※)主な周知内容
○色覚の検査を必須の項目から削除したこと(「学校保健法施行規則の一部改正等について(平成14年3月29日文部科学省スポーツ・青少年局長通知)」の抜粋)
○色覚検査は必須ではないが、児童生徒が困ることのないよう必要に応じて、学校医による健康相談を行ったり、学習指導等において配慮したりすること(「学校保健安全法施行規則の一部改正等について(平成26年4月30日文部科学省スポーツ・青少年局長通知)」)
○ 文部科学省としては、引き続き、様々な機会を通じて必要な周知に努めてまいります。
【担当】文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課
要望団体名:カラーユニバーサルデザイン機構
要望2 【色覚問題に対する総合的な調査や相談窓口の設置について】
眼科の調査によると日本中には約320万人の少数色覚型の人がいる。これは疾病や障害ではなく、進化の結果生じた人間の多様性の一つであって、赤と緑の見分けは弱いが逆に総合的な視力は高いというメリットを持っているという報告もある。
しかしあいもかわらず少数色覚が劣っているような印象を持つ人が多く、実際先に上げたように政府(内閣府)としても「障害者」として位置付けるとしている。
1.実際に色覚の多様性について、多様性でなく「障害」と位置付ける科学的・合理的な根拠や現状でどのような問題、差別、教育、対策などがとられているか、総合的に調査したことはあるか?
また、無いようであれば、対策を取るにあたり、ぜひそのような調査をすべきと考えるがいかがか?
2.障害者差別解消法第14条に精神に則り、国が主導し色覚の科学的な位置づけや遺伝的な位置づけ、またそれらによる差別などに対する相談窓口のようなものを作ってはどうか。
(答)
御指摘の「あいもからわず少数色覚が劣っているような印象を持つ人が多く、実際先に上げたように政府(内閣府)としても「障害者」として位置づけるとしている」の趣旨が必ずしも明らかではありませんが、内閣府からは、色覚障害を発達障害などと同様に障害者差別解消法の対象と位置付けること等の以前の御要望事項に対し、障害者差別解消法における障害者の定義を回答したところです。
障害者差別解消に向けた相談体制の在り方について、令和3年度に効果的な相談体制の在り方に関する調査研究を実施したところであり、当該調査結果も踏まえて、障害者政策委員会において引き続き議論してまいります。
【担当】内閣府政策統括官(政策調整担当)付障害者施策担当
要望団体名:NPOカラーユニバーサルデザイン機構
要望10.昨年は海上自衛隊に採用されたという本人からの電話があった。特に記載せずとも採用現場で総合的な判断をされているものだと思われる。海上自衛隊では全員が船舶操縦者、航空自衛隊では全員が飛行機操縦者になるというわけではないのであるから、過度な色覚制限は見直して良い時期ではないか。米国や英国では従来の色覚検査方法ではパイロットに向いている色覚が検査できないとして、CADやCCTHDというコンピュータを使った色覚検査を採用し、イギリス航空局の調査で従来は落としていた強度の色弱の人の35%にパイロットに向いている人がいて逆に合格にしていた人に不適な人がいることがわかったとしている資料がある。(「色のふしぎと不思議な社会」川端裕人 筑摩書房)これは自衛隊で使用している機器類や航空機灯火色などを多様な色覚に対応した物に変更するだけで良いはずだ。このさい色覚制限を廃止してはどうか。
(答)
自衛官は、総じて銃火器等を使用する機会があるなど、危険を省みず職務を遂行することが要求されるため、個人及び部隊全体の安全確保の観点から、そのような特性に応じた身体的要件を具備すべきものと考えております。
また、コンピュータを使った色覚検査については、防衛省としましても、情報収集に努めており、客観的・定量的に色覚特性について判断できる可能性があるものと考えております。
いずれにしましても、共生社会実現の重要性も踏まえ、自衛官に必要な身体要件について引き続き検討していきたいと考えております。
【担当省庁】防衛省人事教育局衛生官
防衛省人事教育局人材育成課
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要望団体名:特定非営利活動法人カラーユニバーサルデザイン機構
要望⑫.内閣府やデジタル庁をはじめ、その他の省庁において、こうした色覚の多様性について対応することを考えているか。その場合どのような専門性で調査や対応をしていくのかについて
(答)
デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン(2021年9月21日付け改定)においては、「ユーザビリティ及びアクセシビリティに関する事項として、情報システムの各機能におけるユーザビリティ及びアクセシビリティについて、日本産業規格等を踏まえつつ、情報システムの利用者の種類、特性及び利用において配慮すべき事項等を記載する。」こととされております。デジタル庁においては、政府ウェブサイトの標準化・統一化を進める上で、JISX8341-3などのアクセシビリティの規格に配慮したデザインシステムの構築を行っているところであり、今後、本デザインシステムの適用により、色覚も含めた多様性に対応していくこととしています。
<参考>
・デジタル庁ウェブサイトについては、色覚に配慮したデザインシステムを適用済みである。
【担当】デジタル庁デジタル社会共通機能グループサービスデザインチーム
要望団体名:特定非営利活動法人カラーユニバーサルデザイン機構
要望1.一灯式信号機のように信号機のタイプによっては、赤色と黄色が見分けづらいという状況がおきることを国として承知しているか。
(答)
信号機のタイプによって、赤色と黄色が見分けづらい状況が起こり得るとの御指摘があることについては、承知しています。
【担当】警察庁交通局交通規制課
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要望団体名:特定非営利活動法人カラーユニバーサルデザイン機構
要望2.東京都では、全ての一灯式信号機が三灯式信号機への切替えが終わっていると聞いているが、しかし全国ではまだ多くの一灯式信号機がある。撤去できない信号機があるとすればその理由は何か。また全国で何基の一灯式信号機が稼働しているか把握しているか。
(答)
警察庁では、「信号機設置の指針」を定め、都道府県警察に対して、「一灯点滅式信号機その他の常に灯火の点滅を行っている信号機については、一時停止の交通規制その他の対策により代替が可能な場合は、信号機の撤去を検討する」よう指導しています。
これを受け、都道府県警察では、個別具体の道路交通状況等を踏まえて一灯点滅式信号機の撤去を検討しているものと承知しています。
なお、令和2年度末現在の全国の一灯点滅式信号機の設置数は、別紙のとおりです。
【担当】警察庁交通局交通規制課
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要望団体名:特定非営利活動法人カラーユニバーサルデザイン機構
要望3.令和3年3月24日警察庁丙規発第7号東京都交通局長「信号機設置の指針」制定について「5-2信号機の撤去」によると「一灯点滅式信号機その他の常に灯火の点滅を行っている信号機については、一時停止の交通規制その他の対策により代替が可能な場合は、信号機の撤去を検討するものとする」となっている。既存の一灯式信号機については、誰にとっても確認しやすく、安全性も高いと考えられる三灯式信号機へ切り替えるべきと思うがいかがか。また切り替えすべきでない合理的な理由があるか。
(答)
警察庁では、「信号機設置の指針」を定め、都道府県警察に対して、「一灯点滅式信号機その他の常に灯火の点滅を行っている信号機については、一時停止の交通規制その他の対策により代替が可能な場合は、信号機の撤去を検討する」よう指導しています。
なお、一灯点滅式信号機の代替となる対策については、各都道府県警察において、個別具体の道路交通状況等を踏まえて検討することとなります。
【担当】警察庁交通局交通規制課
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要望団体名:特定非営利活動法人カラーユニバーサルデザイン機構
要望1.2.3
1 昨年お示しいただいた「職務執行上必要とされる色覚」がどのようなものであるかは、誰が何を基準に、どのような科学的・合理的な判断で行うのか。例えば、医師がパネルD15の結果によって現場での認識に問題が生じる判断するなど、具体的な基準・方法を示していただきたい。
2 実際に色覚障害(中等度や強度)の人が警察官のどの職務を執行する上で問題が有るか一つでも二つでも例示していただきたい。
3 現場での認知能力(色の判断能力)に問題があるとされることがある。
昨年提案させていただいたが、海外のように警察官が体につける動画記録装置ポリスカムを採用した県警があるとニュースで報道されている。
警察官の不安定な視力と記憶力による証拠能力を補完するために、科学技術の進歩により実用レベルの解像度の小型カメラを身に付けることが出来るようになってきた。
そのような装置を使えば、色による判断力を欠くと言う問題も解決できると考えるがいかがか。
科学技術の進歩に合わせて、警察官に求められる能力なども変化していくと思われる。合理的に不要と思われる制限、差別をなくすべきと考えますがいかがか。
(答)
各都道府県警察においては、採用試験において、職務執行上必要とされる程度の色覚を判別するため、医療機関による検査結果の提出等を求めているものと承知しています。検査に当たっては、検査方法に応じて、医学的見地等に基づき、然るべき者が判断しているものと承知しています。
一般論として、警察では、例えば、逃走する被疑者や車両を直ちに手配・追跡する際などに、色も重要な要素の一つとなります。また、警察では、様々な時間帯や天候等において各種活動を行っており、色の識別を含め諸対応を行う状況は事案によって異なることから、御指摘については、一概にお答えすることは困難です。