ここ何年か、湘南工科大学デザイン科の特任講師をしている。ある年、教授室で藤原大氏と会いました。藤原さんはISSEY MIYAKEの副社長で一緒にお茶を飲みながら「伊賀さんと一度お会いしたかった」ということで翌年の「21_21 デザインサイト(六本木)」で開かれる「カラーハンティング展〜色からはじめるデザイン〜」に出展協力を要請いただきました。藤原さんは拙著である「CUD」(ハート出版)を読まれて「色の見え方そのものが人によって大きく異なる」という事実に驚かれたのでした。

準備期間にいろいろな提案を行い、ご指導もいただいて、一般の方に理解いただくためにリアルタイム色覚シミュレータを使ってはどうかという話になりました。展示には浅田一憲氏の色のシミュレータアプリとiPadを使うことになり、浅田氏の協力を得ました。数台のiPadを壁面に立て、ちょうど鏡を見るようにオリジナルとP型D型T型の4タイプの色覚型で自分が映ります。手前に色のサンプルを置きそれを手にして考えてもらうというものでした。私は展示会などで物事を確実に伝える・説明するという経験はそこそこありましたが、見た人が自分で感じる・考えるという展示はこれまで経験がなかったので大変勉強になりました。

この展示会ではほかには、色覚の多様性に関するものはなく、藤原氏が自宅の空の色を毎日色合わせて作った色標や、アフリカで毎日ライオンを見ながらつくったライオン色の色票とか、古代の草木染めの色見本帳やなど多くの色に関する表示がありたいへん楽しめました。

私の展示の横には、色覚の多様性について説明文を書貸せていただきました。展示がオープンしてから仕事の合間に会場に行きました。見ている人がどんな印象をもつのか観察させていただき、おかげでいろいろな発見があったし、いろいろな方との出会いがありました。

2014年カラーハンティング展は 色覚の多様性が社会にデビューする大きなきっかけになったと思います。(伊賀公一)

カラーハンティング展 トーク