CUDO賛助会員の集い(2017年秋)は、「防災と色覚」をテーマに開催しました。調査報告として、カラーユニバーサルデザイン推進ネットワーク*事務局 関根ジローさん(松戸市議会議員)が「消防職員採用時における色覚検査の調査」の結果を次の通り報告しました。
*カラーユニバーサルデザイン推進ネットワーク:超党派地方議員・NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構・学生で構成する民間団体。

「厚生労働省は、平成13年に労働安全衛生規則を一部改正し、雇入時の健康診断における色覚検査を廃止。就職に際し根拠のない制限を行わないよう通達がなされました。この改正により就職に際しての制限は大幅に緩和されました。しかし、現在も一部の職業では色覚検査が実施されています。なぜなら、この改正には「各事業所が必要性に基づいて自主的に色覚検査を実施することを禁止するわけではない。」と注意書きがあるためです。

そこで、私たち(カラーユニバーサルデザイン推進ネットワーク)は、34都道府県内の消防本部・一部事務組合に対して「消防職員の採用時における色覚検査の実施状況」の調査を行い、回答を集め、この結果を取りまとめましたので報告いたします。

【平成29年における消防職員採用時において】
■「色覚が採用されない」と回答した消防本部・一部事務組合は、49.8%にのぼることが明らかになりました。
<内訳>
・消防採用時に色覚検査を実施していない。→39.7%
・消防職員採用時において色覚検査を求めているが検査結果が採用に影響しない。→10.1%

消防採用時において色覚検査を実施する必要性についても調査したところ、「色覚が採用に影響されない」と回答した消防本部・一部事務組合が過半数を占め、その理由を「色弱でも消防業務に支障がない」と回答しています。

【横浜市について】
横浜市は消防部局採用時に色覚検査をしているのですが、12月7日の新聞(東京新聞 神奈川版)に市長のコメントが掲載されていましたので紹介します。
「県内全二十四の消防部局のうち、六割以上の十六消防が採用時に色覚検査をしている事を指摘した民間団体の調査を巡り、横浜市の林文子市長は六日の定例会見で、「色覚検査は必要ない。消防局に改善してもらうよう話した」と述べた。同市は合否に影響しないとしながらも色覚検査をしている。
林市長は、民間団体の調査結果を報じた同日の本紙を見て初めて色覚検査をしていることを知ったという。同局の鈴木貴晶・人事課長は「検査をやめるか採用後にするか、議論を重ねたい」とし、早ければ来年度の採用試験から変更すると説明した。」

【カラーユニバーサルデザイン推進ネット 今後の活動について】
「カラーユニバーサルデザイン推進ネット」では、消防職員採用時における色覚検査の必要性の有無について、全国的な議論を巻き起こす一助となるべく、すべての都道府県へ活動を拡げると同時に、平成26年3月14日参議院予算委員会における厚生労働副大臣の国会答弁*1を参考にしながら、それぞれの議会において「消防採用時における色覚検査の在り方」について問題提起の質問を行います。加えて、国に対して消防職員採用時における色覚検査の必要性の有無についての見解を求めてまいります。
他の業種についても調査する必要があるのではないかと思っています。」

*1:平成26年3月14日 参議院予算委員会における厚生労働副大臣の国会答弁(第十三部 予算委員会会議議事録第十三号 平成二十六年三月十四日【参議院】)
〇厚生労働の所轄しますハローワークでは、企業に対しましても従業員を雇い入れる際に、色覚異常は不可などというそういう求人条件を付けるのではなくて、色を使う仕事の内容、どういうふうな仕事の中身なのかということを求人票の中に詳細に記述するようにと指導をしているところでございます。
また、例えばその採用選考時の色覚検査について相談が事業主からあった場合には、本当に必要なのかどうなのかということを、そういうことを確認した上で、事業主の工夫によってちゃんと仕事ができないのかどうなのか、そういうこともしっかりと事業主の方に啓発指導をしているところでございまして、今後とも、そういう色覚異常も含め、就職差別のない、そういう公正な採用選考が行われるように取り組んでまいりたいと考えております。(副大臣:佐藤茂樹君)