判別しやすい赤牌登場 麻雀店に順次導入
首都圏や名古屋、近畿、中国で24店舗を展開する麻雀店「マーチャオ」。今年5月から全店で順次、一部の牌に加工を施している。「赤牌」と呼ばれる3種類の牌にドリルを使って手作業でくぼみを作り、インクを注入。色弱者でも「赤」を判別しやすくするためだ。既に全店で1セット以上の牌に加工を完了。年内に全店全卓で完全対応を目指している。

麻雀は34種類の牌各4枚、計136枚を交ぜて遊ぶ。現在、最も普及しているルールではこのうち3種類について、4枚のうち1枚が、デザインはそのままに色だけを赤く、得点を増やす役割がある。ゲームの勝敗を左右するこの赤い牌が色弱者には見分けにくい。…省略…

日本の色弱者数は約300万人に上る。複数のパターン、程度があるが、赤と黒の判別が難しい「P型」、赤と緑の判別が難しい「D型」が多数を占めるといい、どちらも赤の判別に苦労する。

色弱者にも識別しやすいデザインの普及を目指して東洋インキが無料配布している配色支援ソフト「UDing」で、色弱者(P型)に赤牌がどう見えているか再現してみた。まったく同じには映らないが、判別しにくいのは確かだ。担当者は「ややピンクに近い赤なので、比較的識別しやすいケース。深紅に近い赤ではより見分けがつかなくなる」と説明する。

記を付けた赤牌を積極的に展開するのは、「マーチャオ」を主な活動場所とする競技麻雀の須田良規プロ(39)=日本プロ麻雀協会。大学時代の麻雀仲間に色弱者がいたという。「色弱者が身近にいないと気付かないかもしれないが、麻雀が誰もが楽しめるゲームになるために取り組まなければ」と話す。所属団体の機関紙で色弱者への配慮を訴え、運動を始めた。

 

ネットの世界でも
麻雀荘検索大手「麻雀王国」ではこれに呼応して特設サイトを設け、利用者からの情報を元に赤牌の印の入った店を紹介しているが、東京都内で同サイトに登録している麻雀荘1077軒のうち該当するのは12軒にとどもある。須田プロも「すべて調べきるのは難しいが、都内では20店に1店程度ではないか」と話す。

パソコンなどで遠隔地の相手とも打てるネット麻雀の世界でも対応が分かれている。利用者数300万人を誇るパソコンネット麻雀大手「天鳳」は。2006年のサービス開始から約2年たった08年ごろから色弱ユーザーの声に対応する形で印を入れている。

また、ゲームセンターのネットワーク対戦麻雀では「MJ」シリーズ(セガ)が、赤牌だけデザインを変えて対応しているが、最大手の「麻雀格闘倶楽部」(コナミ)は印がない。今後の対応予定もないという。業界全体の取り組みとしてはまだ道半ばだ。

こうした動きを通して問題提起がなされること自体にCUDOは期待を寄せる。担当者は「色弱者の存在を知らない人も結構いる。麻雀を通して赤など特定の色が見えない人がいるということを知ってもらいたい、色弱者への理解が浸透すれば、麻雀界にとっても、マーケットが広がることにつながるはず」と話している。