杉並区立井草中学校は福祉に関する理解を深めることを目的に、今年も3年生を対象に福祉体験授業を開催しました。「社会ではいろいろな方と共存します。自分は何ができるかを福祉体験授業を通して感じ、学び、理解を深め、物事の見方を広げる機会になればと思います。」(村山副校長)。当機構は「カラーユニバーサルデザイン~色弱体験~」の授業を行いました。

「色弱者について、どんなことを聞きたいですか?」と伊賀副理事長。
班長が事前にまとめた意見を発表しました。
1)今まで色弱のことで苦労したことは何ですか?
2)”色弱”だとわかったとき、自分の気持ちはどう変わりましたか?
3)色弱の方に対して自分たちにできることは何ですか?
4)今後増えてほしい施設はありますか?

伊賀:「皆さん、勉強してきたようですね。では、皆さんの質問に応える前に私から質問です。色弱者は、どんなことに困っていると思いますか?」
生徒:「・・・・???・・・・」
伊賀:「正しいとか、間違っているとかはないので、あなたが思うことを言ってみて。」

生徒A:「外見では違いがわからないので、信号が赤だと思って止まっていたりすると、後ろの車の人に何で止まっているんだろう…と思っている人もいると思う。」
生徒B:「薬の形が同じで色が違うと、色を間違えたら危険なので、困ると思う。」
生徒C:「看板の…”止まれ”とか、色が見分けにくくて何が書いてあるかわからなくて困ると思う。」
生徒D:「テレビの文字色とか見分けができないと情報が正しく伝わらないから困ることもあると思う。」
生徒E:「魚の鮮度がいいものと、古いものの見分けがつかないと、困ると思う。おいしいと思ったらおいしくないので。」

生徒全員が”色弱者の困ること”を考え想像し答えました。

「では、バリアントール(色弱模擬フィルタ/メガネタイプ)をかけてみようか。」伊賀の合図に、生徒は一斉に眼鏡を装着すると身の回りの色を眺め「全然、色の見え方が違う?!」とわいのわいの。
折り紙を「似ている色のグループ」に分け、色弱の人の苦手な色の組み合わせ(見分けがつかない・つきにくい)を体験。薬に色をつけるとき、どんな色を使うと間違いやすく見分けやすいのか。看板やテレビの文字色の見分けにくい色と見分けやすい色はどんな色合いかなど、自分たちの質問に対する答えを自分たちでみつけてゆきました。
さらに、伊賀副理事長が自分の目で「似て見える色」を円形に並べると?「うわぁ~、きれい!」バリアントールをかけた女子生徒が言葉をこぼすと、全員がバリアントールをかけて「きれい」「すげぇ」「おぅ~」そんな声が飛び交いました。

色弱の人の”困る”ことを知識だけではなく体験を通して理解を深めると、配慮の仕方も自ずとみつけることができる。それは大人だけではなく子どもも同じであることを、改めて今回の授業で学ばせていただきました。

男の子の20人に1人が色弱者だといわれています。クラスにひとりは色弱の児童生徒がいることになります。子どもたちが色弱者やカラーユニバーサルデザインの必要性を理解することで、子ども同士の会話はスムーズになります。配色が見分けにくく文字を見落としているとき、色の名前がわからないときには友達に気軽に教えてもらうこともできるでしょう。

カラーユニバーサルデザイン機構では、UDや社会福祉授業の一環とする授業に今後も協力していきたいと考えております。