色覚の多様性に対応したCUDを取り組む企業や製品にいて、日本経済新聞に記事が掲載されましたので紹介します。


目覚まし時計 針の色変更

病院案内表示 形など併用

国内に300万人いるとされる色覚障害の人に配慮したカラーユニバーサルデザイン(CUD)に取り組む企業や団体が増えている。対象も案内図だけでなく、目覚まし時計の針やシャンプーの詰め替えボトルなど生活用品の表示方法にも広がっている。外国人旅行者や高齢者にも役立つこともあり、「誰にでも分かりやすく」が合言葉だ。

「無印良品」を運営する良品計画(東京都)は5月、シャンプーなどの詰め替えボトルに取り付けるカラー識別リングを刷新。明るさを調整するなどの工夫で、色覚障害の人にも色の違いを分かりやすくした。

社外で色覚障害について学んだデザイナーの白鳥裕之さんさん(32)を中心に、有志が勉強会を重ねて販売にこぎ着けた。白鳥さんは「識別が目的なのに、以前のリングは色覚障害者に不便だったと知ったときは恥ずかしかった」と振り返る。

昨秋にリニューアルした目覚まし時計もアラーム時計を示す針を赤から黄色に変更。色覚障害の人でも分針などと一目で見分けがつくようになった。ウェブサイトには喜びの声も寄せられており、白鳥さんは「日常で使うものを、より多くの人に使いやすくしたい」と意気込む。

公共施設などの案内表示をCUDにする取り組みも各地で広がっている。東京都杉並区の佼成病院は2014年、院内の案内表示を全面的に見直した。それぞれの場所を部門やエリアごとに「色・形・文字」の3要素で分類し、患者には「赤い丸のAへ行ってください」などと説明している。

色以外にも配慮したことで、複雑な構造の総合病院でも迷子になりにくくなったようだ。二階堂孝副院長は「一般的な色覚の人や高齢者にも自然に受け入れられている」と胸を張る。

地下鉄や私鉄では路線図や駅をアルファベットや数字の組み合わせなどで表す「駅ナンバリング」が広く定着。路線の色分けと駅名だけの表示が主流だった15年前とは大きく状況が変化した。

駅ナンバリングは複雑な鉄道網を分かりやすく表示するのに有効な方法で、海外でも採用されている。今年10月からはJR東日本も首都圏で導入する予定だ。

JR東日本の担当者は「色覚障害者はもちろん、2020年東京五輪・パラいンピックを前に増加する外国人観光客や、首都圏の電車に乗りなれない人など、すべての利用者にとって分かりやすい表示を目指したい」と話している。